校友会岩手県支部だよりvol.3 コロナ禍に思うこと〜 福本 恵子
前回に引き続き、インタビュー形式で岩手県支部メンバーのテュ―バ奏者 福本 恵子さんにお話しをお伺いしました。
コロナ禍に思うこと 〜 福本 恵子
緊急事態性宣言後の活動自粛、そしてまだ止まらないコロナ感染拡大…というような一年でしたがいかがお過ごしでしたでしょうか。
なんだかあっという間に一年が終わってしまいました。もうあの緊急事態宣言のあたりの記憶があまりないです。
福本さんは楽器奏者の中でも、金管で、そして大きさもかなり大きい楽器ですが練習場所などどうされていましたか?
本番は軒並み中止、延期となり、いつも練習をしていたスタジオ、施設等も全部閉まったときは練習場所さえ失いました。でも今まで時間に追われている中の生活でしたが、ゆっくりとした何もない時間が生まれて、自分を見つめ直す時間ができたことはよかったと思っています。偶然にも新たなご縁に恵まれ、練習場所をご厚意で使わせて下さる方に出逢ったりと・・・そうこうしている間に、少しずつ少しずつ日常が戻ってきた感じです。
確かに、過ぎてしまうとあっという間ですよね。コロナ前と後で演奏会の様子はなにか変わりましたか?
目に見えるところだと、自粛要請解除開けすぐはオーケストラの奏者間にパーテーションやアクリル板が置いてあったり、同じセクション内でも隣との間隔を通常よりも空けていたりと細かな変化はいろいろありますね。楽器から出てくる水はペットシートを敷いて直接床に捨てないように変わりました。水蒸気とは言え一応飛沫ですからね・・・。(苦笑) そして指導している学生たちのコンクールが無い、練習した成果を発表する機会が無いというのを見ているのはとても辛かったです。なんとかできる形で、小編成のアンサンブルの発表会を企画する等の対応はしています。やっぱり“ライブ”に勝るものはありません。絶対生の音がいいです。
本当にそう思います。世間に目を向けてみると、学校の授業もオンライン、演奏会もライブストリーミング、動画配信という新たな発信のかたちが流行ってきていたりしますが、その点についてはどう考えていらっしゃいますか?
私は動画での受け取り方だと生演奏の半分以下しか伝わってこないと思っています。もちろん何かの“きっかけ”には気軽で簡単に見ることが出来るし、良いとは思います。でも演奏家は本番一発勝負の世界。ライブだと、過ぎてしまったら戻せないけど、収録型だとそれができてしまいますもんね。同じ空間の中で、集中して一回の音に懸けて勝負していきたいと思います。
最後にメッセージをお願いできますでしょうか?
私の師匠ともよく話すのですが、バッハにしてもブラームスにしても昔の作曲家の音楽は何度も何度も戦争を乗り越えて残ってきているわけだから、今回の疫病なんかで音楽は絶対無くならないし、音楽の力はすごく強いものだと信じています。私はフリーランスとして、一つ一つの頂いたお仕事を丁寧にこなすことで、チャンスを頂いたり、次のお仕事を頂いたりしているので、現状に満足せず常に目標を持ち、そこに向かってコツコツと練習を積み重ねています。それしかないと思います。
福本さん、インタビューありがとうございました。
今回はコロナの感染状況が日増しに増加傾向にあることから、Zoomを使用し、オンラインでのインタビューでしたが、福本さんの音楽に誠実に、謙虚に向き合う気持ちが言葉のひとつひとつに溢れていて、初心を思い出させてくださる様なひとときでした。
よりよい音を求めてひたむきに努力していくことは、たとえコロナ禍であっても変わらないですね。
今年は世界中が、コロナによって今までの常識を覆される異例の年になってしまいました。
まだまだ予断を許さない状況下ではありますが、1日も早くこの不安な状況が収束へと向かいます様に。安心して”音楽”を皆様と同じ空間で、共有することができる日々が戻って来る様、心からお祈りしております。
今年も大変お世話になりました。
来年も東京音楽大学校友会 岩手県支部を どうぞよろしくお願い致します♫
インタビュアー 村上 千秋