校友会岩手県支部だよりvol.4 コロナ禍に思うこと〜 野田 ヒロ子
前回に引き続き、インタビュー形式で岩手県支部メンバーの野田ヒロ子さんにお話しをお伺いしました。
コロナ禍に思うこと 〜 野田 ヒロ子
コロナ禍がかなり長引いていますが、学校や演奏活動等いかがでしょうか。
新しい様式に去年よりはかなり慣れてきてはいます。しかし、歌うことはマスクやフェイスシールド、アクリル板あり等々…制限のある中で行うのはかなり厳しいです。やっぱりいろんなことが半分になってしまいますね。他の楽器の専攻と比べてみても、声楽はダイレクトに飛沫の問題もありますし、身体そのものが楽器なので本当に難しいです。言葉で説明するという事だけで伝わらない場合は、体現して伝えなければ理解してもらえないという事もありますし。また歌唱法にもよるでしょうが、私は共鳴するパーツはすべて使い、息をたくさん使って空間全体を響かせる歌い方なので、マウスシールドをすると跳ね返ったりして、その中でまた歌うので、その状態で歌うと喉を壊してしまうと思い、怖くもあります。
オンラインレッスンや配信型のコンサートが溢れてきていますが、先生も試されてみていかがですか。
オンラインレッスンは、実際に試してみて無理なことは無いなと思いました。例えば、何か癖を直すということ。通常のレッスンでやりたいと思っていても同じ空間で週一回だと、なかなかそれだけに集中して直すことは出来ません。しかし、オンラインレッスンだと1日10分と時間を決めて、それを直すことだけに集中することが出来るし、実際にすごく効果がありました。もちろん同じ空間で響きを確認しながらのレッスンに勝るものはないのですが、別物ですね。それと同じように私もまた、宝塚熱が再発して毎日のように家のテレビで見ています(笑)どんなことでも、本当に好きなものだったら、オンラインとライブの良さが別であることをちゃんとわかっているし、ファンがいなくなるということは無いと思います。
確かにそうですよね。世界中が感染対策をして、気を付けながらコンサートも開催していますしね。ただ、コンサートの後のお食事や、社交の場としての機能は全くなくなって寂しいというのはありますけどね。
今現在も緊急事態宣言下の中での生活ですが、自粛期間でゆっくりした時間が増えたかとは思いますが、どの様に過ごされていらっしゃいますか。
このような状況ですので演奏の機会は減り、収入面でも減ったりだとかそういうことはもちろんあるのですが、“自分とちゃんと向き合う”という時間が出来たなと思っています。今までも向き合うという事はずっとやってきてはいますが、日々動いている中での向き合う時間は違って、ゆっくり流れる時間の中で、じっくり自分と向き合う時間や、丁寧に見返して練習が出来たことはとても良かったと思っています。真面目になれた気がします(笑)
今よりももっといい音を求めて、探求心を持って謙虚に取り組むお姿には本当に頭が下がりますが、今後やってみたいことなどはありますでしょうか。
昨年、日本の作曲家のオペラに取り組む機会がありましたが、非常に面白かったです。改めて振り返ってみると、日本の音楽はあまり演奏してこなかったので取り組んでみたいなあと思っています。日本語の発音は、特に高い音はちゃんと発音しようと思うと本当に重くて難しいので、遠ざけていた部分がありました。でも日本人として、日本の作曲家の音楽を演奏して伝えるということは意味があると感じています。またヨーロッパの近代の作曲家の作品は演奏回数こそ少ないですが、面白い曲もたくさんあるので世に伝えていきたいなと思います。
最後に未来の音楽家へのメッセージをお願いします。
ちょっと元気がなかった児童部の子が、こちらから曲を提示しなくとも、歌詞を読んだり、いろんな音源を聞いてきたりして、興味を持って自ら取り組む曲を探して、レッスンに持ってきて歌うことで、すごく前向きに成長していく様子を見守る機会がありました。音楽の力というのは、そういうことだと思っています。世界中が大変な状況ではありますが、音楽そのものは何も変わりません。ずっとそこにありますから。
野田先生、インタビューありがとうございました。
いつも自分に厳しく、良い音を求めてストイックに、誠実に音楽と向き合う姿は音楽家の鏡だと思います。本当に思っている事しか仰らない先生だからこそ、言葉の重みをすごく感じるインタビューでした。
ありがとうございました♫
インタビュアー 村上 千秋
また、お知らせページにも掲示しました通り、今年も支部演奏会は中止となってしまいました。ですが、校友会メンバーの個々の演奏会情報や、新しいメンバーのプロフィール等、引き続き更新してまいります。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします♫